研究課題/領域番号 |
25620076
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西山 久雄 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40135421)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 合成化学 / 不斉触媒 / 酸化反応 |
研究実績の概要 |
有機合成化学において、金属触媒反応で有用物質を合成するにあたり1)毒性を排除すること2)貴金属から安価な金属への転換、によって環境に優しい方法の導出が求められている。本研究申請では、毒性の高いオスミウム試薬使用による方法が唯一であるアルケンからの医薬や機能物質の原料となる光学活性1、2-ジオール合成を、ホウ素試薬と主にキラルロジウムおよび白金、できれば鉄、錯体触媒で実現しようとするものである。より効率的な系として収率90%以上、光学収率95%以上を数値目標に掲げる。また、反応は実用的であることが良いので、機能性化合物や医薬、全合成など合成経路で遅い段階(Late Stage)での利用が可能であるように、官能基寛容性すなわち種々の官能基が共存する中で実施できるものを探索目標としている。目的遂行のため、新たな不斉配位子を有する新規な錯体の探索も含め、革新的な触媒系を見いだすことを主眼としている。不斉三座配位子ビスオキサゾリニルフェニルアミンと塩化ルテニウムから得られる触媒と種々酸化剤との組み合わせにより、p-クロロスチレンのジヒドロシリル化を検討し微量のジオール生成物を得るにいたった。配位子を不斉NHCとして再検討したところ収率44-81%でオールを得たが、ラセミ体であった。ビスオキサゾリニルフェニルロジウム錯体を用いる系では、二置換オレフィンのジオール化に成功した。アミド、イミド、カルバメートへの展開が進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光学活性1、2-ジオール合成についてルテニウム系での酸化を試みたが良好な結果は得られなかったが、貴金属ではあるがロジウム系で微量触媒(0.1%)でN-アリルイミド類を高エナンチオ選択的にジボリル化し酸化によって光学活性1、2ージオール合成を達成している。さらに二置換オレフィンにてジオール化に成功した。酸化段階で酢酸を添加することにより、イミド、アミド、カルバメートのアシル保護基が分解しない系を見いだした。
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今後の研究の推進方策 |
不斉ロジウム触媒系での基質適用範囲の拡大を目指し、生理活性物質の基本骨格である3ーアミノ-1、2-ジオールの合成に取り組む。また、鉄、コバルト、ルテニウム触媒での選択的ジオール化を目指す。酸化剤として、過酸化水素、過ヨウ素酸ナトリウムを用いてエポキシ化とジオール化の選択性を検討する。さらに、鉄触媒系としてフェボックス鉄、フェボックスコバルトを検討し、環境調和触媒の開発を推進したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費および人件費等の必要がなかった。また、消耗品の使用量が予定より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
成果報告のための学会出張費(10万円)に加え、物品費(反応器具や試薬など)として約100万円を使用する予定である。
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