われわれは、独自に開発したイリジウム二核錯体を用いた複素芳香環化合物の不斉水素化反応の検討を行い、イソキノリン類やピリジン類の不斉水素化反応が効率的に進行することを見いだした。従来、イソキノリン類やピリジン類の不斉水素化反応は難しいとされてきたが、われわれはキノキサリンを塩酸塩へと誘導することでイソキノリン類の不斉水素化反応が効率的に進行し、高いエナンチオ選択性が達成されることを見いだした。さらに、基質の塩形成を用いて種々の複素芳香環化合物の不斉水素化反応を試み、効率的な光学活性環状アミン化合物の合成法を開発するとともに、外圏六員環遷移状態を経る反応機構により進行することを明らかにした。
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