研究課題/領域番号 |
25620086
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
今田 泰嗣 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60183191)
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研究分担者 |
南川 慶二 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (70250959)
荒川 幸弘 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (70709203)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フラビン触媒 / 酸素添加反応 / 担持型触媒 |
研究概要 |
本研究課題では酸素添加反応に活性を有する担持型の高活性N(5)無置換中性フラビン分子を開発することを目的としている。この目的を達成するために申請者は、N(5)無置換中性フラビン分子の周辺に水素結合相互作用を発揮することのできる反応場を導入し、中性フラビン分子から生成する短寿命の酸化活性種(FlHOOH)の長寿命化を提案している。 本年度の研究においては、1.含フラビン低分子ゲル化剤の自己組織化および2.層状粘土鉱物へのフラビン分子のインターカレーションによるフラビン分子周辺への反応場の導入を検討した。 1.ビス(アルカンアミド)シクロヘキサン骨格を基盤とする低分子ゲル化剤のアルキル鎖末端位にフラビン骨格を導入した含フラビン低分子ゲル化剤を合成した。含フラビン長鎖低分子ゲル化剤とフラビンを含まない母核短鎖低分子ゲル化剤との混合系ゲルでは、これらのゲル化剤が交互性をもって配列しており、フラビン分子周辺にアルキル鎖に由来する反応場が構築されることをいることを示唆する情報が、NMR、SEM、CD測定より得られた。また、これらのフラビンゲル触媒を用いると、オレフィンの水素添加反応において、疎水性反応場による顕著な反応加速効果が観測されることを明らかにした。 2.アロキサジン骨格にカルボキシル基を有する各種アロキサジンカルボン酸を合成し、炭酸イオンを層間に含むハイドロタルサイトの層間へのインターカレーションを検討した。生成した層状粘土鉱物をXRDで解析したところ、2つのカルボキシル基を有するアロキサジンジカルボン酸をインターカレーションした場合に、層間距離が0.78 nmから1.84 nmへと拡張し、アロキサジンジカルボン酸が効率よく担持されたことを明らかにした。また、このアロキサジン担持ハイドロタルサイトがオレフィンの水素添加反応に触媒活性を有することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
含フラビン低分子ゲル触媒およびフラビン担持層状粘土鉱物触媒のいずれに関しても、オレフィンの水素化反応を用いて、触媒周辺の疎水性反応場の構築を検証することはできたが、当初目的としていた、水素結合性反応場の構築およびその検証には至っていない。いずれの触媒合成についても、調整した触媒の微細構造解析に予想以上の時間がかかたことが一番の要因である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに確立した含フラビン低分子ゲル触媒およびフラビン担持層状粘土鉱物触媒における反応場構築手法に関する知見に基づいて、フラビン分子周辺に水素結合性反応場を有する新規担持型触媒を調整し、酸素添加反応における触媒活性を評価する。また、酸素添加反応に限定することなく、フラビン触媒による新規反応開発も積極的に進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年3月27日~30日に開催された日本化学会春季年会における研究成果報告のための出張旅費および3月末発注の消耗品の支払い処理が平成26年度となったため。 平成26年度当初に支払い処理を行う。
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