研究課題
本研究は、これまで合成が困難であった多環状ポリマーを簡便かつ精密に合成する手法の確立を目的としている。さらに、得られた各種多環状ポリマーの物性を系統的に評価することで、多環状構造とポリマー物性の相関関係を明らかにすることを目指している。平成26年度は、前年度までに達成できなかったクローバー型ポリマーの合成を行った。具体的には、3つのアジド基を有するトリオール開始剤を用い、エポキシドモノマーをt-Bu-P4触媒存在下でリビング重合し、続く末端修飾と分子内クリック環化により目的のクローバー型のホモポリマーならびにブロックコポリマーを得た。加えて、これまでに合成した各種多環状ポリマーの比較対象とするため、同等の化学組成を持った星型ポリマーの合成も行った。さらに、これまでに合成した各種両親媒性多環状ブロックコポリマーについて小角X線散乱を用いて水溶液中ならびにフィルム中における自己組織化構造の解析を行った。その結果、多環状ブロックコポリマーは対応する直鎖状ブロックコポリマーとは異なるナノ構造を形成することを明らかにした。また、環状構造や親水/疎水部の配列に応じて自己組織化構造が異なることも見出した。以上のように、本研究ではリビング重合と分子内クリック反応を巧妙に組み合わせることで多彩な構造を持った多環状ホモポリマーならびにブロックコポリマーを精密合成で出来ることを見出した。この手法をもとに合成した一連の多環状ポリマーを用いることで、多環状構造とポリマー物性の相関関係を系統的に評価することが初めて可能となった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 4件)
Polym. Chem.
巻: in press ページ: in press
10.1039/c5py00277j
巻: 5 ページ: 4993-5001
10.1039/C4PY00314D
Macromolecules
巻: 47 ページ: 2853-2863
10.1021/ma500494e
巻: 47 ページ: 7118-7128
10.1021/ma501647m
巻: 5 ページ: 4701-4709
10.1039/C4PY00290C