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2014 年度 実施状況報告書

NCA法に代わるポリアミノ酸合成の革新的プラットホームの開拓

研究課題

研究課題/領域番号 25620097
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

鈴木 将人  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20179253)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードポリアミノ酸 / アミノ酸 / 開環重合 / ラジカル重合 / 重付加 / 共重合
研究実績の概要

Sar(サルコシン)-NdtCA(α-アミノ酸-N-ジチオカルボン酸無水物)は、BlocBuilderを開始剤としてトルエン中90℃で重合した。ESI-マススペクトル分析によって、両末端には水素が付加したPSarが生成していることが分った。末端基の水素は成長末端アシルラジカルによる水素引き抜き反応によって生成すると考えられることから、ラジカル重合が起こっていることが示唆された。また、MMAと共重合体を生成することが、生成物の溶媒への溶解性の変化から示唆された。
アスパラギン酸(Asp)およびグルタミン酸(Glu)にNaOH存在下で二硫化炭素を反応させ、続いて硫酸で環化することによって、側鎖に無保護のカルボキシル基を持ったNdtCAを安定に単離することができた。
Asp-NdtCAは、ベンジルアミンを開始剤としてN-メチルピロリドン中室温で重合したが、α体だけでなβ体が17%含まれたPApsが生成していることが判明した。このことから、側鎖カルボキシル基の重合への関与が示唆された。次に、ベンジルアミンを加えることなくピリジン中で反応を行ったところ、室温48時間で定量的に重合が進行し、β体を13%含むPAspが得られた。GPCを用いて反応を追跡したところ、逐次型の重合が進行していることが示唆され、最終的な分子量はPSt換算で10万以上となった。以上のことから、この重合反応では、側鎖のカルボキシル基が環のカルボニル基を攻撃することによって、環状酸無水物の骨格と二硫化炭素の脱離によって生じるアミノ基を持った中間体が生成し、それがAsp-NdtCAの重合を開始する連鎖型の重合だけでなく、アミノ基と酸無水物との間の反応が中間体同士やポリマー末端基間で進行する重付加型の重合が起こっていると推察される。
Glu-NdtCAもAsp-NdtCAと同様の重合反応を行った。ピリジン中で得られたPGluにはα体だけでなくγ体が13%含まれていたことから、この重合でも異性化による環状酸無水物中間体の生成が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

生成ポリマーのマススペクトルの結果から重合がラジカル的に進行していることが示唆されたが、イオン機構を排除するためには、まだまだラジカル重合の証拠が不十分である。
側鎖に無保護のカルボキシル基を持ったモノマーの合成に成功した。当初の計画にはなかったが、ラジカル重合を試す前にイオン機構による重合を検討し、ポリアスパラギン酸とポリグルタミン酸の新規合成法を提示することができた。このことは、NdtCAの別の面での有用性を示すことに繋がった。
これまでの研究で、オーソドックスなラジカル重合開始剤よりもニトロキシラジカル存在下などの制御ラジカル重合系を用いた方がポリマーの生成には好都合であるとの結果が得られていることから、当初の予定通り制御ラジカル重合系を適用した重合を単独重合やビニルモノマーとの共重合に適用する方が本研究を遂行する上で有利と考えられる。

今後の研究の推進方策

1)スチレンなどのビニルモノマーをBlocBuilderを開始剤としてリビングラジカル重合させて、それをマクロ開始剤としてSar-NdtCAとAla(アラニン)-NdtCAの重合を行う。ブロックポリマーが合成できれば、ラジカル重合の確固たる証拠となるばかりか、ビニルポリマーとポリ(アミノ酸)からなる新規高分子が得られることになる。
2)Glu-NdtCAとAsp-NdtCAについてもラジカル重合を検討する。特に以下に述べる光反応が有効と考えられる。
3)無保護の水酸基を持ったセリンや環状構造をもったプロリンからもNdtCAの合成を検討し、合成できた場合にはその重合性を明らかにする。
4)各種NdtCAの紫外線照射による重合について、光ラジカル開始剤の使用も含めて、溶媒効果や光源の種類の影響を調査する。特に、アシルホスフィンオキシドが、光によりアシルラジカルを生成する反応を活用してドーマント種を介した重合制御を検討する。

次年度使用額が生じた理由

交付決定額が申請額より少なかったため、当初予定した備品の購入ができなくなったので、金額に見合う他の備品を購入するか他の費用に充てるか検討を行っていた。

次年度使用額の使用計画

機器の使用料等が思いのほか必要であり、学会発表での旅費が必要なため、備品以外の費用に充てる予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 無保護のカルボキシル基を持ったジチオNCAの開環重合によるポリ(アスパラギン酸)およびポリ(グルタミン酸)の合成2015

    • 著者名/発表者名
      近藤里奈、松岡真一、高木幸治、鈴木将人
    • 学会等名
      第64回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2015-05-27 – 2015-05-29
  • [備考] 名古屋工業大学大学院物質工学専攻有機分野高分子合成研究室

    • URL

      http://polysyn.web.nitech.ac.jp/Welcome.html

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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