研究課題/領域番号 |
25620105
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊田 太郎 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80422377)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エマルション / 非平衡系 / 自己駆動 / マイクロ流路デバイス |
研究概要 |
本研究は、電源フリーの液滴マイクロ分析システムを目指し、自己駆動する油滴の融合と分裂を利用した自律型液滴マイクロ分析システムの創成を目的としている。本システムの 作動原理を検証できれば、生体/環境モニタリングを指向した電源不要のポータブルマイクロ分析システムの要素技術につながることが期待される。 4-ヘプチルオキシベンズアルデヒドの油滴を界面活性剤水溶液で満たしたマイクロ流路に導入したところ、1時間程度も油滴の自己駆動現象を観測することができた。自己駆動現象を引き起こす界面活性剤を精査したところ、疎水性部位は炭素数が14以上、親水性部位は陽イオン性であることがポイントであることがわかった。マイクロ流路の両端から濃度の異なる界面活性剤水溶液を加えると、濃度勾配や導入時の流れに逆らう方向に油滴は自己駆動できることを見出した。この観測結果は、自己駆動する油滴が高次の化学物質応答型走性を有することを明らかにできた点で意義深いのみならず、自律型液滴マイクロ分析システム実現に向けた最初の原理検証として極めて重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、電源フリーの液滴マイクロ分析システムを目指していることから、マイクロ流路内で油滴が自己駆動する現象が現れる分子種を選定する必要がある。自己駆動現象が1時間以上持続できる分子種の組み合わせを見出すことができた本成果は、この第一段階を達成できたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、自己駆動油滴が分析試薬を含む油滴と融合し、その内部で反応した後に、反応物を含む油滴を分裂により放出するというサイクルを構築するため、油分子と反応活性型界面活性剤分子の組み合わせをさらに探索する。また、マイクロ分析システムとして油滴を持続的に駆動させるために、円形マイクロ流路を設計し最適化する。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規のマイクロ流路チップを購入予定であったが、年度末までに購入・使用する段階に至らなかった。 実験計画に従って、マイクロ流路チップを購入し、研究を進める。
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