研究課題/領域番号 |
25620106
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 守俊 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00323501)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 生物発光 / 生物発光タンパク質 / 細胞 / 活性酸素種 / イメージング / プローブ / ルシフェラーゼ / 分泌 |
研究概要 |
ホタル等の発光生物の多くが生物発光タンパク質(ルシフェラーゼ)を有している.我々は,最近,海洋生物が有する数種類のルシフェラーゼに内在する非常に面白い物性を発見した.「数種類のルシフェラーゼ」とは,細胞での発現に引き続いて細胞外・体外へと放出される,いわゆる分泌型のルシフェラーゼであり,生命科学研究で頻繁に利用されるホタルやウミシイタケのルシ フェラーゼのように細胞質で機能する,いわゆる細胞質型ルシフェラーゼとは区別される.分泌型ルシフェラーゼはその N 末端に小胞体移行シグナルとして機能するアミノ酸配列を有するのが 特徴で,この配列が当該ルシフェラーゼを分泌経路(小胞体→ゴルジ体→分泌小胞→分泌)に引き込む役割を担っている.我々は,このシグナル配列を除去した分泌型ルシフ ェラーゼを細胞質に発現させたところ,その生物発光活性が完全に失われることを発見した.なお野生型の分泌型ルシフェラーゼは小胞体に取り込まれる過程で当該シグ ナル配列が切断されるため,最終的なアミノ酸配列としてはシグナル配列の欠失変異体も野生型も同じである.我々はさらに,このシグナル配列を除去した分泌型ルシフ ェラーゼを細胞質に発現させ,活性酸素種の一つである過酸化水素を添加したところ,当該ルシフェラーゼが生物発光活性を生起するようになることを見出した.過酸化水素のみならず,様々な活性酸素種に対して当該ルシフェラーゼが生物発光活性を生起することを示した.さらに,この生物発光活性には,当該ルシフェラーゼにおけるジスルフィド結合の形成が必須であることを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生物発光プローブの基礎的なキャラクタリゼーションを順調を進めており,開発研究は概ね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従って,生物発光プローブの高輝度化や応用研究に繋げていく予定である.
|