カーボン材料を固定化した新規分離媒体の開発を目的として,光/熱活性基であるPerfluorophenyl azide (PFP) 誘導体を用いた種々の検討を行った.オープンチューブキャピラリー内表面にPFPA誘導体を修飾し,フラーレンを光あるいは熱反応により固定化し,液体クロマトグラフィー用固定相として評価した.その結果,固定化されたフラーレンに起因する特異的な分離選択性が確認され,本法の有効性が示された. さらに,高速送液用の分離場として期待されている多孔質化媒体(シリカモノリス)を用いて,上記と同様の手法によりフラーレンを固定化し,その分離特性を評価した.その結果,シリカモノリスの高い比表面積に起因する固定化フラーレン密度の向上から,オープンチューブキャピラリーよりも高い分離性能が確認されるとともに,特異的な分離選択性も顕著に発現することが明らかとなった.特に,多環式芳香族類に対する分離選択性が高く,πスタッキングによる高性能分離の可能性が示された.
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