平成27年度の研究実績を以下に述べる。 1.3枚のミラーと一個のビームスプリッターおよび半波長板を用い、633nmのレーザーを光源として、Sagnac効果の測定装置を構築した。セルには厚さが1mmの石英セルを用いた。レーザーの光は、ビームスプリッターによりそれぞれ半分の強度で、偏光方向が90度異なる二本の偏光ビームとして互いに逆方向に周回するようにミラー等を設定し、再びビームスプリッターに集まってから半波長板をとおして干渉を生じさせ、ウオーラーストンプリズムに誘導して垂直および水平偏光に再度分岐させ光の強度を測定した。周回するレーザー光を透過するようにセルを設置し、ビームの方向に対して90度の方向から磁場を印加した。磁場の印加方法としては、当初は手動で永久磁石と試料セルの距離を変動させていたが、これをより再現性のよいモーター駆動の自動ステージを用いる方法に改良した。付属のソフトにより、光の強度の測定と連動させて自動ステージを駆動し、磁場の強度を変えてSagnac効果を観測することに成功した。このようにして、磁性ナノ粒子分散液の磁化曲線を自動的に取得する方法を作成した。 2.この方法により、親水性および疎水性の磁性ナノ粒子の分散液のSagnac効果を測定する最適条件を検討した。その結果、磁場を印加する初期の条件としては、Sagnac回路を周回する二つのビームの干渉効果が最小の状態が望ましいことがわかった。この状態で磁場の印加を開始すると、比較的明確にSagnac効果を測定することができた。 3.Saganc効果の測定システムについては基本的な部分の構築を完成し、ファイバーシステムを用いる測定に付いても基礎的な検討を行った。
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