研究課題/領域番号 |
25620114
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
金田 隆 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20243909)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レーザートラッピング / 単一細胞計測 / 光渦 / 水滴 / 油滴 / 融合 / 化学計測 |
研究概要 |
水溶液中に分散させた油滴をレーザーにより捕捉し融合させるために、ふたつのレーザー光を顕微鏡に導入し、それぞれを独立に操作できるシステムを構築した。このシステムを用いて異なる二つの油滴を捕捉し、それらを融合させる方法について検討した。 有機相として1-ブタノールとデカンの1:1混合溶媒を用い、これに種々の界面活性剤を添加して、マイクロエマルジョンを作製した。界面活性剤には陽イオン性の臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、陰イオン性のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及び中性のポリエチレングリコール(PEG)を用いた。これらの界面活性剤を用いて作製したマイクロエマルジョンをレーザーで捕捉して接触させたところ、同種の界面活性剤から成るマイクロエマルジョンは融合することはできなかった。一方、CTABとPEGからなるマイクロエマルジョンは融合させることができた。このとき、融合前の各々の油滴の大きさと融合後の油滴の大きさは理論から予測される大きさと一致していることから、融合に成功したことを確認することができた。一方、二つの油滴溶液を捕捉した後に、溶液を水に入れ換えて融合を試みたところ、CTABとPEGの油滴を融合させることはできなかった。このことは、溶液中にPEGが存在するときには融合できるが、PEGが存在しない場合には融合できない可能性を示唆するものである。このような溶液内の界面活性剤が液滴の融合に影響を与える現象はこれまで報告されておらず、新しい知見を獲得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザートラッピングにより微小液滴を捕捉するためのシステムを構築し、油滴の捕捉と融合に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
油滴の融合の際に、溶液中に存在するPEGが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。このような現象はこれまで報告されておらず、検討が必要である。したがって、今後は油滴融合に対するPEG濃度の影響について詳細に検討し、融合条件の確立を目指す。さらに有機溶媒中での生体細胞の捕捉にも取り組む。
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