研究課題/領域番号 |
25620122
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
萩原 伸也 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 准教授 (80373348)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リードスルー / ナンセンス変異 / アミノグリコシド |
研究概要 |
アミノ酸に対応したコドンが終止コドンに置き換わるナンセンス変異は、疾患に関連した遺伝子変異の約1/3を占める。この様な疾患に対する治療法の一つとして、終止コドンを翻訳時に読み飛ばすリードスルー誘導法が注目されており、その候補化合物にはアミノグリコシド系抗生物質が検討されている。しかし、既存のアミノグリコシドは、遺伝子選択性・コドン選択性がなく、副作用などの問題から実用化には至っていない。本研究では、アミノグリコシドをオリゴ核酸と連結することにより、配列選択的にmRNA上へ提示し、標的のコドンに対して特異的に作用させる新手法の開発をめざした。本年度は、その実現に向け、評価系の構築と、アミノグリコシドーオリゴ核酸連結型分子の設計および合成を行った。 リードスルー効果の評価系として、ホタルルシフェラーゼ遺伝子にナンセンス変異を導入し、in vitro転写反応により、ナンセンス変異型mRNAを合成した。アミノグリコシドの存在下、Hela細胞抽出液またはウサギ網状赤血球抽出液を用いてこのmRNAを翻訳し、合成されたルシフェラーゼの活性を測定することで、リードスルー活性の評価を行った。 アミノグリコシドーオリゴ核酸連結型分子を設計する上で最大の課題は、如何にアミノグリコシドの活性を保持したままスペーサーを導入するかである。本年度は、様々な部位に置換基を導入したAGを合成し、これらの分子のリードスルー活性を評価することで、最適なスペーサー導入部位を探索した。その結果、真核生物のリボソームに作用することが知られているパロモマイシンに対して、リードスルー活性を保持したままスペーサーを導入可能な部位が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的実現にむけて鍵となるアミノグリコシドへのスペーサー導入位置を決定することができた。すなわち、本研究最大の難関を突破したと考えることができる。
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今後の研究の推進方策 |
既に最適化したアミノグリコシド構造をオリゴ核酸と連結するとともに、スペーサーの種類や長さを最適化する。これにより、配列選択的な終止コドンのリードスルーを達成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロプレートルミノメータの購入を予定していたが、所属機関に別途予算で導入されたため、購入を取りやめた。このため次年度使用額が生じた。 順調な研究の進行状況にあわせて、生理活性評価をさらに活発に行う。これにむけた実験設備の充実をはかる。
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