研究課題/領域番号 |
25620146
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆 東北大学, 国際高等研究教育機構, 准教授 (40302187)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ラマン分光法 / 電気化学 / 分光学 / 電極界面 |
研究概要 |
分子の酸化還元反応は、電子の授受と同時に局所的な分子内の電子状態の変化や分子の構造変化を伴う。これは電気化学計測に加えた新たな研究手法の発展により明らかにされてきている。本研究課題は、分子内の電子移動過程を電気化学的・振動分光学的な両側面より検討しようとする萌芽的研究課題である。 本年度は、その場ラマン分光測定を実施するために,その場ラマン分光セルの設計と製作を行った。当該研究課題において,ボルタモグラムの測定を行いながら、ラマンスペクトルの測定を行う必要がある.電極電位の掃引速度は10~100mV/s程度を用い,ラマンスペクトルの測定は、数十mV間隔程度を想定しており、現在までのところ、数秒間隔にてラマンスペクトルの測定が可能となっている。さらなる光学系の高感度化を目指し、光学系・その場ラマン分光セルの最適化を行い,電極電位の高速掃引時に備えたその場ラマンスペクトルの測定を試みている。 上記のその場ラマン分光装置を用い、銀電極界面における水分子の動的挙動を表面増強ラマン分光法を用いて解明している。電極―電解液界面の電気2重層領域に存在する水分子に関する動的挙動を電極電位規制下であるその場で観測している。電極―電解液界面に存在する吸着水分子のラマン散乱強度は電極電位に依存して変化することが観測され、また、吸着水分子のラマン散乱強度はアルカリ水溶液のアルカリ金属種にも依存することが判明した。これらの結果は、これまで観測している吸着水分子の変角振動、対称伸縮振動、逆対称伸縮振動と同様の傾向を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電極―電解液界面を探索する手法としてのその場ラマン分光法の確立に大きな目途が立っており、単分子層程度の分子の酸化還元反応にも応用可能な状況となっている。次年度以降の研究に大きな指針を与えることができており、刻々と変化する電極界面を分光学的側面より解析を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
電気化学反応を逐次追跡するその場ラマン分光については、基本的な段階において概ね目途が立っているので、更に高度な手法へと展開する。特に、電極界面スペクトルの励起波長依存性については、近赤外光を励起原としたFTラマン分光法についても検討を行い、結合電極界面における電気化学反応の統一的な現象解明に挑む。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究開発課題の遂行に置いて、現有の試薬、実験材料、実験装置等の消耗品を研究を効率的に使用したことに伴い未使用額が発生した。 平成26年度に25年に購入予定であった試薬、実験材料、実験装置等の消耗品等を購入する。よって平成25年度の未使用額と平成26年度請求額とを併せて平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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