本研究は、人工的に形成させた球状脂質二分子膜(ベシクル)を反応場に使用し、さらに流動システムを導入することによって、反応効率と拡張性を高めた光‐化学エネルギー変換システムを構築することを目的としている。当初の計画に従って目的とする流動システムの製作には成功したが、これを二酸化炭素の光還元系に適用するには、送液による圧力変化で溶液中の二酸化炭素濃度が不安定になるなどの問題点があることが判明した。並行して検討したベシクルを反応場とする二酸化炭素の光還元系の高効率化に関する研究では顕著な成果が得られ、水中でアスコルビン酸を電子供与体とした可視光を用いる一酸化炭素発生系の構築に成功した。
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