本研究は人工光合成水分解を用いたエネルギー技術を確立するため、1)世界最高レベルの触媒回転数と触媒回転頻度を有する光増感型水分解触媒の開発、2)上記光増感型触媒を基盤にした人工光合成水分解デバイスの構築と高効率な物質変換系の実現を目指した。まず、水酸化可能な高い酸化能力を有する新規ポルフィリン誘導体の合成を行い、さらに光誘起電子移動により対応するポルフィリンラジカルカチオンが生成可能かの確認を行った。具体的には高い酸化能力を有する亜鉛ジアザポルフィリンなどの一連のポルフィリン誘導体を合成し、光励起により電子移動が可能であること、生成した酸化状態が高い酸化力を有することを実証した。一方、Licheng Sunらが開発した世界最高レベルの水分解触媒活性を有するルテニウム錯体を合わせて合成し、両化合物を酸化スズ、酸化チタンなどの半導体電極に共吸着させた光電気化学セルを構築した。その結果、光駆動による水分解触媒反応が起こっていることを確認できた。
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