研究課題/領域番号 |
25620149
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
俣野 善博 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40231592)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ジアザポルフィリン / アザジピリン / ジピリン / ホウ素錯体 / 吸収特性 / 発光特性 / 電気化学特性 / 核置換 |
研究概要 |
π系が拡張されたジアザポルフィリンおよび核置換ジアザポルフィリンの化学性を明らかにすることを目的として、本年度は期間内に主に次の二つの課題に取り組んだ。(i)外周部にチエニル基を持つπ拡張ジアザポルフィリンの合成、(ii)近赤外領域に強い吸収帯を持つアザジピリンおよびジピリンの合成、および、(iii)課題(i)、(ii)で合成した色素の光物性および電気化学特性の解明。まず、β無置換ジアザポルフィリンのβ位の位置選択的な臭素化によりテトラブロモ体を合成し、スティレ反応を用いてテトラキス(チエニル)ジアザポルフィリンへ変換した。次いで、外周部へ導入されたチエニル基と母核との間のπ共役効果を定量的に評価するため、参照系としてβ位にチエニル基を持つアザジピリンおよびジピリン誘導体を合成した。得られた色素について、NMRスペクトル・吸収スペクトル・発光スペクトル・酸化還元電位の測定を行い、π系の構造と光物性・電気化学特性との相関を調べた。その結果、外周部へのチエニル基の導入により、ジアザポルフィリンおよびアザジピリンの吸収帯が大幅に長波長シフトすることや、ジピリンのホウ素錯体が長波長側可視領域に強い発光を示すことなどが明らかとなった。また、アザジピリンホウ素錯体とジピリンホウ素錯体の蛍光寿命測定および蛍光量子収率の比較から、メソ位への窒素原子の導入により励起一重項からの無輻射過程が大きく促進されることを確認している。さらに、核置換ジアザポルフィリンの合成へ向けて、チオフェンとピロールが連結された核置換ジピリン錯体の合成法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は初年度で核置換ジアザポルフィリンの合成も計画していたが、π拡張ジアザポルフィリンおよび参照系となるアザジピリン錯体の合成と構造-物性相関の解明を優先したため、期間内に検討するには至っていない。しかしながら、前駆体となる核置換ジピリン錯体の合成には成功しているので、研究計画全体としては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、鋳型反応を利用して核置換ジアザポルフィリン誘導体を合成し、その諸物性を解明する。また、ドナー=アクセプター型構造を持ち、近赤外領域に至る光捕集能を持つジアザポルフィリン系増感剤を構築し、有機太陽電池の光活性層としての利用を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末の薬品購入手続きと証憑書類の整理に時間がかかったため。 年度始に購入手続き処理ならびに証憑書類の整理を速やかに行う。
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