本研究は、従来固体(金属酸化物、無機結晶、高分子)においてのみ得られる強誘電性を、イオン液体を基盤とするソフトマテリアルにおいて実現するための新しい方法論を開拓することを目的とした。前年度までに、芳香族スルホン酸を有するイオン液体について、特定の温度領域で強誘電ヒステリシスを観測した。本年度は、PUND測定により、誘電ヒステリシスにおける常誘電成分、強誘電成分ならびにリーク電流成分の評価を行った。その結果、電極近傍における交流電場印可に伴い、分子の反転(配向変化)が誘起されていること、またイオン液体の分子レベルの共連続相構造が誘電ヒステリシスに密接に関わることを明らかにした。
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