研究課題/領域番号 |
25620168
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩田 忠久 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30281661)
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研究分担者 |
柘植 丈治 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70332260)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオポリエステル / 生合成 / 超高分子量 / 熱的性質 / 機械的性質 / 繊維 / フィルム / 延伸 |
研究概要 |
本研究では、微生物が糖や植物油を炭素源として菌体内で生合成するバイオポリエステルの超高分子量化と新規な延伸方法の開発による高強度・高弾性率繊維の作製を目的としている。本年度は、遺伝子組み換え大腸菌を用いてグルコースおよびパーム油より、重量平均分子量300万以上の2種類の超高分子量バイオポリエステルの生合成を試みた。その結果、培養条件を検討することにより、重量平均分子量400~500万の超高分子量バイオポリエステルが生合成されることを見出した。超高分子量バイオポリエステルは菌体外に取り出す時に一般的に分子鎖の切断が起こり、分子量が低下する。したがって、分子量を保持させたまた菌体外に取り出す抽出方法を重点的に検討した。菌体の膨潤条件、乾燥条件、溶媒にクロロホルムを用いて、濃度、撹拌速度、撹拌時間、フィルターの大きさなど、様々な抽出条件を検討した。その結果、再現性よく、分子量400万以上のバイオポリエステルを抽出する方法を見出した。 合成した超高分子量バイオポリエステルの分子量、ガラス転移点、結晶化温度、融点、球晶成長速度などの基礎的性質について詳細に解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)超高分子量バイオポリエステルの生合成、(2)基礎物性評価、(3)超延伸による高強度・高弾性率繊維の開発の3段階で構成されている。本年度、目標とする分子量300万以上の超高分子量ポリエステルの生合成に成功し、その基礎物性評価も行えたことから計画通り順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、超高分子量バイオポリエステルの大量合成と溶融紡糸および延伸による高強度化を検討する。大量合成は、生合成レシピを作成し、外注により行う予定である。溶融紡糸は、当研究室で設計した特注の溶融紡糸装置を用いて、冷延伸・二段階延伸法および微結晶核延伸法により、延伸倍率50倍以上を試み、破壊強度1.5GPaの高強度繊維の作製を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたより培養試薬を使うことなく、目的とする超高分子量ポリエステルが生合成できたこと、分子量測定装置に必要なカラムが当初予定していたより目詰まりを起こさなかったことなどより、消耗品費に余裕が出来た。 超高分子量バイオポリエステルの生合成に成功したので、実験室レベルではなく、外注により大量に超高分子量バイオポリエステルの生合成を行う予定である。おそらく100万円は外注費になると考えられる。
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