平成26年度では、微細ナノ構造体作製のために撥水性ポリマー成分と親水性ポリマー成分からなる強偏析系ジブロック共重合体を合成し、D≦10nmの微細周期構造の構築を目指した。
具体的には撥水性ポリマー成分としてポリペンタフルオロスチレン(F)を、親水性ポリマー成分としてポリアクリル酸(A)を用いることとした。可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合法により、重合度の異なるFAジブロック共重合体を複数合成した。核磁気共鳴法(NMR)とゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりキャラクタリゼーションを行ったところ、Fの重合度は7~38、Aの重合度は16~63であった。微細構造観察用にキャスト膜を調製し、さらにアニール処理を施し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、小角X線散乱(SAXS)測定によりナノ構造観察を行った。
TEM観察を行ったところ、合成したFAはすべてラメラ構造を形成しており、全体重合度が小さくなるにつれて構造周期Dが小さくなることが分かった。SAXS測定ではすべてのFAで整数次ピークが見られ、TEM観察(ラメラ構造)を裏付ける結果が得られた。重合度が小さくなるにつれて1次ピーク位置(q*)が高角側へシフトしていくことが確認でき、D=2π/q*の関係式より、Dが小さくなっていくことが分かった。さらに重合度の最も小さなFA(Fの重合度が7、Aの重合度が16)ではD=6.8nmの繰返し周期を示し、当初の目標であったD≦10nmの周期構造を実現することができた。これらの成果について学会で発表を行う予定である。また英語論文として報告予定である。
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