研究課題/領域番号 |
25620175
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻井 敬亘 京都大学, 化学研究所, 教授 (00217308)
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研究分担者 |
榊原 圭太 京都大学, 化学研究所, 助教 (20618649)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | セルロース / ミクロ相分離 / 準結晶 / ボトルブラシ / キラリティ |
研究概要 |
本研究は究極的に高位置選択的なグラフトセルロースを開発し、側鎖のミクロ相分離を駆動力とした高次構造を形成させ、セルロース主鎖のキラリティに基づくキラルな相分離構造、準結晶構造を探ることを目的とした。本年度は以下の業績を挙げた。 (1)保護基反応を駆使して、原子移動ラジカル(ATRP)重合開始基(α-bromoisobutyryl基)の位置選択的導入に成功した。Tritylcelluloseに残存する2級水酸基へのα-bromoisobutyryl基の導入反応を検討したところ、2位の水酸基に選択的に導入されることが明らかとなった。また、6位にtrityl基、2位にthexyldimethylsilyl基を有するセルロース誘導体など、鍵中間体ライブラリーの合成に成功した。 (2)α-bromoisobutyryl基が位置選択的に導入されたセルロース誘導体をマクロ開始剤としたstyreneのATRPを行った。グラフト鎖の狭い分子量分布を達成し、かつATRP開始効率をほぼ100%とすることに成功した。 (3)分子動力学(MD)計算により、重合開始基の置換位置とセルロース誘導体の安定性の相関を調査し、グラフト鎖合成の設計指針構築へ展開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を一通り着手することができた。究極なグラフトセルロースを得ることが主な検討事項であったが、分子動力学計算へも研究が進捗した。来年度の高次構造形成へ向けて、最も困難と予想される合成に目途が立ち、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
グラフトセルロースの溶液を基板上にキャストないしはスピンコートした後、真空乾燥を施して溶媒を完全に除去することで薄膜を作製する。この際、薄膜の熱アニーリング処理により、側鎖グラフト鎖を十分にミクロ相分離させて高次構造薄膜を得る。得られた薄膜を各種観察(3D-TEM・GISAXS・CD)に供する。これら観察結果を考察し、分子設計にフィードバックすることで、新しいキラルな準結晶構造の獲得を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
端数処理のため。 消耗品費として使用。
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