本研究では、セルロースの分子鎖キラリティに着目し、主鎖にセルロース、側鎖に分子量の揃った異種ポリマーを有する新規ヤヌス型ボトルブラシを合成し、セルロースに捕捉されたらせん状の高次構造形成、特にキラルな高分子準結晶、の発現を試みた。リビングラジカル重合、開環重合などの各種制御重合法を取り入れるとともに、定量的grafting-to法を検討、さらには多糖の位置選択的誘導体化を駆使したことで、2種類の側鎖が導入されたセルロース系ヤヌス型ボトルブラシの合成に初めて成功した。多糖を主鎖とする究極のヤヌス型ボトルブラシ(3種類の異種側鎖導入系)合成の道を拓いたといえ、新規高次構造形成への可能性を示した。
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