研究課題/領域番号 |
25620178
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松本 章一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00183616)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 制御重合 / リビングラジカル重合 / 機能性高分子 / 高分子合成 / 易解体性接着材料 / ブロックポリマー / ポリアクリル酸エステル / 光酸発生剤 |
研究概要 |
本研究では、使用時は強固に接着しながら、光照射および加熱の二重外部刺激に対して選択的かつ高感度で応答し、容易に剥離可能となる接着材料システムを設計するため、高分子量で極性基を含み、シークエンス構造が精密に制御されたポリアクリル酸エステルをリビングラジカル重合法によって合成し、光酸発生剤を併用することにより、二重外部刺激による側鎖エステル基の変換と分子間反応を利用して接着特性を制御して、ポリマー材料の精密分子設計によって、高感度かつ高性能の易解体性接着材料を設計する。易剥離可能な粘着剤ポリマーの精密合成のための新規リビングラジカル重合法の開発、ならびに短時間解体剥離と選択的な界面剥離のための材料設計の研究を実施している。今年度は、強粘着・易剥離可能な粘着剤ポリマーの精密合成を中心に研究を行った。二重外部刺激前後の剥離強度比を大きくするため、リビングラジカル重合法による精密なポリマー構造制御を行い、接着用ポリマー材料の高分子量化ならびに極性基の導入を試みた。また、解体時の反応に伴うポリマー材料変化、架橋構造の導入などについて分析を行った。同時に、高性能粘着剤ポリマー合成のための新規リビングラジカル重合法を開発し、固体で比較的安定な有機ジテルリド化合物を用いたリビングラジカル重合を利用し、二種類のアゾ開始剤との組み合わせによるブロックコポリマーの合成法を新規に開発し、高い粘着強度を有する高分子量ブロックコポリマーの合成条件を精密化した。ブロックコポリマーとランダムコポリマーの剥離強度挙動の違いも明らかにし、精密なポリマー構造制御による接着性能の高機能化に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合を利用して、固体で安定なジテルリド化合物とアゾ開始剤との組み合わせによるin-situ活性種生成法を用いた手法を新たに開発することに成功し、市販試薬のみで高機能性のアクリル酸ブロックコポリマーを合成する方法を確立できた。これにより、高分子量で極性基を含むアクリル酸ブロックコポリマーの合成が容易になり、今後の高性能易解体性接着材料の設計を効率よく進めることが可能となった。また、ブロックコポリマーとランダムコポリマーをそれぞれ粘着剤ポリマーとして用いた際の解体性に関する性能比較からブロックコポリマーの優位性を明らかにすることができた。これらの成果により、当初の計画に従って順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画はほぼ順調に進んでいるので、それらを発展的に継続すると同時に、当初の計画通り、剥離時の界面構造の解析と剥離挙動の制御についても検討を行っていく。さらに、易解体性接着技術の多様化ならびに適応範囲の拡大をめざして、ポリマー材料設計の面から新たなポリマー材料の開発も視野に入れて研究を進めていく予定である。新規刺激応答性ポリマーを開発することにより、解体条件を多様化でき、また粘着フィルム以外の用途への応用の糸口となることも期待できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、備品費が当初の計画より少額で研究を実施できたため、研究費を有効利用するために、493,296円を次年度に繰り越した 次年度請求助成金とあわせて、繰り越した493,296円を備品費あるいは旅費として有効活用する計画である。
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