平成26年度は、短時間解体剥離と選択的界面剥離のための材料設計に重点をおき、紫外線照射ならびに加熱時間の短時間化を行うため、剥離の高感度化のためのポリマー側鎖反応性基の高活性化、反応性基含有率の最適化を行うと同時に、光酸発生剤添加量、紫外線波長・強度、温度など剥離用外部刺激の条件最適化について検討した。アクリル酸t-ブチルを利用する二重刺激に応答型のポリマー材料では、光照射及び加熱のそれぞれ単独での刺激に対して材料劣化は示さないので、従来の材料に比べて剥離時の感度を高めることにより、使用時の安定性と剥離時の高感度応答性の両立を試みた。その結果、外部刺激のない通常使用時で市販のセロハンテープを上回る剥離強度を示す粘着ポリマー材料が、紫外光5分照射後にオーブンで5分加熱することで初期強度の10%以下にまで強度が低下すること、さらに照射紫外光の光量を高めることにより、紫外光照射30秒および加熱30秒の短時間の処理で剥離に十分に強度にまで低下することに成功した。さらにビニルエーテル保護型のポリマー材料についても短時間剥離を試みた。ビニルエーテル保護型ポリマーを用いた迅速解体型の粘着剤については、未処理の状態での強度は、上記のアクリル酸t-ブチルを含むポリマーに比べてやや性能的に劣るものの、3分間の紫外光照射のみで劇的に強度が下がり、ほぼ自発的な剥離が認められた。剥離様式は外部刺激処理前は凝集破壊であったが、光照射後は基材のステンレス板界面で選択的に剥離した。このように異なる種類のポリマー材料に対して、二重刺激ならびに単独刺激に応答して、短時間処理による優れた解体性を示す材料が設計できることを明らかにした。
|