研究課題/領域番号 |
25620180
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅野 了次 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (90135426)
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研究分担者 |
平山 雅章 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30531165)
小林 玄器 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 特任准教授 (30609847)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イオン導電体 / ヒドリドイオン / 酸水素化物 / 電気化学デバイス |
研究実績の概要 |
「ヒドリドデバイス創成」を目的として,ヒドリドイオン(H-)が固体内を拡散する物質を基に、電気・化学エネルギー変換デバイスの可能性を探究した.ヒドリド導電体の(1)固体電解質としての可能性を検討し,(2)エネルギー貯蔵型,(3)エネルギー変換型デバイスの開発に着手した.初年度は,ヒドリドイオン導電性を有するK2NiF4型酸水素化物が固体電解質として機能することを確認した(1).さらに,金属電極を用いたデバイスを作製し,エネルギー貯蔵型デバイス実現の可能性を見出た(2).次年度は,エネルギー変換(発電)デバイスの開発(3)に注力し,H2をH-に変換する触媒の検討を行った.開発した酸水素化物を固体電解質,水素透過性のPdを電極とした対称セル(Pd/SE/Pd)を作製し,H2を利用した電極反応を検証した.水素雰囲気下で交流インピーダンス測定をおこなった結果,Pd/SE/Pd対象セルは,Moなどのイオンブロッキング電極を用いた時に観測されたバルク抵抗と粒界抵抗に加え,新たに電荷移動抵抗が確認された.このことから,Pd電極とヒドリド導電性固体電解質の間でH2からH–への変換反応が生じていることが示唆された.Pd電極を用いるとエネルギー変換型デバイス実現が可能であることを見出した.更なる触媒材料の探索により,エネルギー変換効率に優れるデバイスの構築が期待できる.一方,デバイス展開に適したヒドリド導電体の探索も継続して行い,K2NiF4型構造の新規酸水素化物Ba2LiH3Oの合成に成功した.Ba2LiH3Oはこれまでに合成したLa-Sr-Li系の酸水素化物と同様に,輸率1のヒドリド導電体であり,ヒドリドデバイスの固体電解質として利用できる.ヒドリドデバイス創成を目的として設定した課題全てにおいて新たな成果が得られ,新規なデバイスの可能性を見出すことができた.
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