研究課題/領域番号 |
25620185
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中西 和樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00188989)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | リン酸鉄リチウム / 階層的多孔構造 / 液相合成 / 炭素 / 電極材料 |
研究概要 |
マクロ多孔性ゲルの作製(多孔構造の系統的制御):塩化鉄(III)六水和物、正リ ン酸、塩化リチウムを出発物質とするリン酸鉄リチウム組成のマクロ多孔性ゲルを、ポリビニルピロリドンあるいはポリエチレンオキシドを相分離誘起剤、および還元反応による炭素源として各種の水溶性高分子の共存下、プロピレンオキシドの開環反応を利用したpH の上昇を利用して作製した。マクロ孔および気孔率は、主に相分離誘起剤の濃度によって制御した。同様な作製方法を用いて、ケイ酸鉄リチウム多孔体も合成することが出来た。 還元雰囲気下での熱処理:窒素あるいはアルゴン雰囲気下で、上述した乾燥したマクロ多孔性リン酸鉄リチウム-炭素系複合体の還元熱処理を行い、リン酸鉄リチウム微結晶相の析出と、複合した有機高分子成分の炭素化を行った。中心細孔径1~5ミクロン程度の範囲で、狭い細孔径分布をもつ一体型のマクロ多孔性正極部材を得ることができた。 電気化学測定:板状に成形したマクロ多孔性リン酸鉄リチウム-炭素系複合体試料について、サイクリックボルタンメトリーを行い、不純物相の有無を確認すると共に、キャパシタンスおよび電気伝導度等の、正極材料としての基本的な性能評価を行った。不純物の顕著な影響は認められなかったが、従来型のリン酸鉄リチウム多結晶体とカーボン微粒子の混合成形電極に比較して、作製した複合体電極は電気伝導度が低く、リン酸鉄リチウム層と炭素の複合状態を改善する必要があることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電極材料とすべき多孔体の合成については順調に進み、細孔構造の制御や炭素化の手法についてほぼ確立することが出来た。しかし電極特性評価において、既存材料と比較して電気伝導度が低いため、リン酸鉄リチウム/炭素複合体中の微細構造、特に炭素相の連続性についてさらなる改善を行う必要があることが明らかとなったため。
|
今後の研究の推進方策 |
リン酸鉄リチウム/炭素複合体の細孔構造はほぼ自由に制御できるので、雰囲気制御および温度条件を軸に、還元条件の最適化によって電気伝導度の向上を試みる。またモリブデン等の格子の安定化に寄与する金属や、シリコン等のリンを同形置換する元素を導入した多孔体についても、総合的に電気伝導性への影響を判断する。最終的にボタンセルに実装した電池特性を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
多孔体作製に要する試薬の見込が当初よりも少なく済んだため、今年度の支出が若干少なくなった。 翌年度の試料作製数を増やすと共に、精密元素分析等外注による測定に使用する予定である。
|