研究課題
前年度から引き続き、第3元素成分のスクリーニングを継続して行った。その結果、第3元素としてガリウムを用いた場合に、見かけのドープ濃度10at%および5at%で不純物に由来するピークがわずかに観測されるものの、ガリウムがドープされた金属鉄相を高い純度で生成しうる反応条件を見いだすことに成功した。続いて、ガリウムがドープされた金属鉄(a-GaxFe16-x)を原料としてアンモニアガス窒化することにより、ガリウムがドープされた窒化鉄試料(a”-MxFe16-xN2)の合成を試みたが、窒化がほとんど進行しなかった。そこで、高温水素ガス・高温アンモニアガス雰囲気下での固相反応が直接評価可能な「その場XRD測定装置」をフル活用し、水素ガス還元条件の再検討を行うと共に、アンモニアガス窒化反応条件のスクリーニングをおこなった。その結果、見かけのガリウムドープ濃度が2, 5, および10at%の試料において、窒化鉄相が生成しうる反応条件を見いだすことに成功した。特に、ガリウム濃度の低い試料(見かけのガリウム濃度:2及び5at%)では、窒化鉄相の分率が極めて高い(90%以上)純度の良い試料が生成可能であることが判明した。純度の高い窒化鉄相が得られたガリウムドープ窒化鉄試料(見かけのガリウム濃度:5at%)をヘリウムガス雰囲気下、220℃で熱処理し、その熱安定性を評価した。熱処理時間の増大に伴い、窒化鉄相の分解が進行していくことが分かった。測定されたXRDパターンを時間軸に沿ってリートベルト解析することにより、a”-GaxFe16-xN2相の分解速度を評価したが、非ドープ試料(a”-Fe16N2)と比較して有意な差が見られない結果となった。
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