研究概要 |
従来の多孔 性固体への吸着の概念である「細孔表面が作る規定されたエネルギーポテンシャルへの気体分子捕捉」ではなく、「疑似液相が作る柔軟なエネルギーポテンシャルへの気体分子の溶解」という新概念に基づく物質設計を行い、常温・常圧での大量気体吸着物質の創製のために、気体親和性の高いパーフルオロカーボンを有する配位子の合成とそれらを用いた新しい多孔性金属錯体の合成を行った。具体的にはまず配位子として①1,4-Bis(4-pyridyl)-2,5-diperfluorobenzene、②1,4-Dicarboxyl-2,5-diperfluorobenzene、③1,3-Dicarboxyl-5-perfluorobenzeneの合成を行った。さらにこれらと金属イオン(Zn(II)、Cu(II))とを組み合わせて多孔性配位高分子の合成に成功した。その中でもCu(II)イオンと③1,3-Dicarboxyl-5-perfluorobenzeneと組み合わせて合成した多孔性配位高分子では多数の単結晶構造を得ることができた。その構造中には一次元細孔性のナノチャンネルを有しており、そのナノチャンネル中には配位子由来のパーフルオロカーボンが充填されていることを確認した。さらにこれらの多孔性配位高分子の吸着測定を行った結果、様々ガス分子を吸着することが明らかにした。また、吸着物性、特に吸着温度はパーフルオロカーボンの鎖長で変化する事を明らかにすることができた。
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