結晶性高分子材料の結晶・非晶構造が力学特性に与える影響を評価するため,成形条件によって球晶サイズを変化させたポリプロピレンの組織観察および応力ひずみ応答を測定した.球晶サイズが増大するにつれて結晶化度,弾性率および降伏応力が増加した.また,結晶質部分と非晶質部分の塑性変形挙動を考慮した高分子塑性モデルを構築し,有限要素法解析を行った.実験で得られた結晶化度を反映させ,材料の巨視的な力学挙動について評価した.さらに,分子動力学法を用いたシミュレーションを行い,結晶相および非晶相の微視的な塑性変形挙動を調べた.結晶相では,分子鎖のキンク回転による局所的なすべり変形が伝ぱするという結果が得られた.
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