研究課題/領域番号 |
25630013
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾方 成信 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20273584)
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研究分担者 |
君塚 肇 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60467511)
譯田 真人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00550203)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 加速分子動力学法 / 高速モンテカルロ法 / 銅 / 酸化 / マグネシウム / 析出 / フェーズフィールド |
研究実績の概要 |
前年度に開発した分子動力学法の時間拡張手法や高速モンテカルロ法を用いて、結晶欠陥である、粒界や積層欠陥への不純物元素の拡散や析出の解析を実施した。具体的には、銅中酸素原子の粒界への偏析現象を原子レベルでモデル化し、その酸化モデルに力学負荷をかけることで、腐食した銅の破壊メカニズムが温度やひずみ速度または負荷応力によって、拡散によるボイド生成から、転位の運動が引き金となって生じるき裂発生による破壊へと変化することを初めて明らかにした。また、マグネシウム中のアルミニウム、亜鉛、イットリウム元素の2次元積層欠陥部への偏析およびそこでの2次元秩序構造をシミュレートし、原子レベル観察結果ときわめて整合性の高い結果を得るとともに、その形成メカニズムを世界に先駆けて明らかにすることができた。また、これらの知見を導入するフェーズフィールドモデルの基本的な枠組みを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定どおり、フェーズフィールド法の枠組みを構築できたのに加え、加速分子動力学法および高速モンテカルロ法を用いて、これまで不明であった、腐食や偏析メカニズムを原子レベルから明らかにすることができ、論文または口頭発表にて社会に発信することができた。
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今後の研究の推進方策 |
加速分子動力学法、高速モンテカルロ法、フェースフィールド法を駆使し、応力下での腐食環境で生じる各種の現象について明らかにするとともに、それらがどのように相互作用して、き裂やボイド形成や成長を促進させ、最終的に破壊を生じさせるのかについて、原理原則より明らかにする。また、最終年度ではあるが、到来が予想される水素社会に向けた今後の研究の発展を考え、水素による遅れ破壊現象についても本研究で構築した各種手法を駆使しつつ、そのメカニズムを原理原則よる明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
フェーズフィールド法のコード開発および実問題の解析を実施するにあたり、大容量メモリーの計算機が必要となる予定であったが、メモリーよりも開発段階では、モデルを精細に表示できる装置を優先的に導入する必要があることがわかり、代わりに本年度ではそれらを導入したため、その差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
結果のデーター量が極めて多くなっており、それらを将来の資産として保管活用するために、繰越金を活用して、大容量のファイルサーバーの導入を予定している。
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