研究課題/領域番号 |
25630024
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
岩田 太 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30262794)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ナノ加工 / ナノ微粒子 / ナノピペット / 立体造形 |
研究概要 |
本研究課題はナノピペット(先端にサブミクロン以下の微細開口を有するキャピラリーガラス管)を用いて、ナノスケールの微粒子や材料を3次元的に堆積させる新奇な微細立体造形法を開発することである。堆積駆動力として用いる電気泳動の際に流れる微弱電流を検出および制御することで、堆積量を制御可能にする。25年度はナノ微粒子を3次元に堆積させる装置システムの構築とAuナノ微粒子のコロイド溶液を用いた堆積条件の最適化を行った。 (1)ナノピペットを用いたコロイド微粒子堆積装置の構築 本研究にてナノ微粒子を局所的に3次元立体造形する装置を構築した。堆積するナノ材料として、直径数nmのAuナノ微粒子を含むコロイド溶液を用いた、,直径サブμm以下の微小先端開口を有するナノピペットはキャピラリーガラス管を熱引きして製作した。このナノピペット内にナノ微粒子コロイド溶液を充填した状態で基板表面上にピペット先端を近接させる際、走査型プローブ顕微鏡技術を用いてナノメートル精度で位置決めできるように装置を構築した。ピペット内に充填されたナノ微粒子はピペットに挿入された電極を用いて電気泳動により局所的に先端開口サイズで基板表面に堆積可能であることを実証した。 (2)ナノピペットに充填したAuコロイド微粒子の堆積法最適化 本研究で開発した3次元立体造形はナノピペット先端を基板表面から上方に引き上げながら堆積することで実現した。この際、電気泳動堆積を継続維持しながら立体造形する必要があるため、堆積中にピペット内電極に流れる微弱電流を検出し、一定に保つようにピペット電極と基板間の印加電圧を制御するシステムを開発することで、継続的な3次元堆積を実現した。高精度な堆積量制御を実現するための電界印加法(電界印加のタイミングや,直流,交流,パルスなど波形)に関する堆積量の依存性を評価し、最適化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の目標である実験装置の構築とナノ微粒子堆積の確認および立体造形の実現に対して、予定どおり、装置を構築し、微細立体堆積を実現した。堆積に関しては電界印加法における各種パラメータを検討し、加工量に異存することに関する知見を得た。また、堆積量を制御するために、堆積中の電流制御法を開発し、堆積加工量を電流を制御する手法を開発した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は本手法を用いて造形した微細立体構造体に対して、その物性評価を行い、MEMSや電子デバイスへの応用を検討する必要がある。このため、本手法で造形した立体構造物の実用性を考慮し、まずは弾性や周波数特性などの機械的物性評価を行う。評価には柱上構造物(ピラー)を作製し、電子顕微鏡の真空試料室内で動作する自作のナノマニピュレータを用いてAFMマイクロカンチレバーにて直接ピラーに接触し、たわみ変形させることで弾性や硬さなど、機械的な物性評価を行う予定である。これらより得られた物性評価から本立体造形法で作成された構造物の実用性を検討していく。
|