本研究課題はナノピペット(先端にサブミクロン以下の微細開口を有するキャピラリーガラス管)を用いて、ナノスケールの微粒子や材料を3次元的に堆積させる新奇な微細立体造形法を開発することである。堆積駆動力として用いる電気泳動の際に流れる微弱電流を検出および制御することで、堆積量を制御可能にする。さらに本手法を用いて造形した立体構造物における機械的を評価することで、その特性や応用について検討し、マイクロマシンやMEMなど機能性微細デバイス化に向けての知見を得ることを目的としている。25年度は金ナノ微粒子を立体的に堆積させることを実現し、各種パラメータを最適化した。これをもとに、26年度は本手法を用いた金ナノ微粒子の堆積立体造形物に対して弾性率やばね定数といった械物性評価を行った。造形した立体構造物の実用性を考慮し、弾性や周波数特性などの機械的物性評価を行った。評価には柱状構造物(ピラー)を作製し、電子顕微鏡内で動作するナノマニピュレータを用いてAFMマイクロカンチレバーにて直接ピラーに接触し、たわみ変形させることで弾性や硬さなど、機械的な物性評価を行った。この結果として弾性率は金のバルク値と比較して小さい値であった。これについて本研究の局所的な電気泳動堆積法で造形された立体造形物がナノ微粒子の凝集した構造体であるため、物性はバルクの値と異なったと思われる。
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