研究課題/領域番号 |
25630029
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
久保田 章亀 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (80404325)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 精密研磨 / 精密部品加工 / ダイヤモンド / 先端機能デバイス |
研究概要 |
ダイヤモンドは,硬度,高伝導率,絶縁特性,耐環境性に優れた特性を有し,高耐圧,低損失,高速動作を可能とする冷却フリーな次世代省エネルギーパワーデバイス用材料として期待されている.しかしながら,ダイヤモンドは,物質中で最高の硬度を有し,熱的 ・化学的に極めて安定であることから,その加工は困難であり,ダイヤモンドの高能率・高精度加工法の開発が急務となっている. このような背景のもとで,研究代表者は,高加工能率でありながらも高精度に加工を実現できる紫外光援用研磨法を新たに考案した.この研磨法は,SiO2などの金属酸化物製定盤と被加工物を接触・相対運動作用させながら研磨する際に,金属酸化物定盤表面の上方から紫外光を照射することによって,定盤表面を親水化および清浄化し,その親水化・清浄化された定盤表面と被加工物を化学的に作用させることによって,被加工物表面を高能率かつ高精度に研磨するという手法である. 平成25年度は,この考案した研磨法によって,3 mm角サイズの単結晶ダイヤモンド基板の加工を試みた.走査型白色顕微鏡像(測定領域:72.1 μm × 54.1 μm)による計測結果からは,加工前の表面粗さがP-V: 38.373 nm,Rms: 7.429 nm,Ra: 5.935nmであるのに対して,紫外光照射しながら加工した表面の粗さは,P-V: 1.679 nm,Rms: 0.200 nm,Ra: 0.160 nmであることがわかり,加工後の表面粗さが加工前の表面粗さと比べ,大幅に改善されていることを確認した.また,紫外光照射の有無で加工能率が10倍以上異なることも確認でき,加工能率の向上,表面粗さの改善効果を確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気環境下で紫外光照射を援用した研磨法を提案し,その手法によって,ダイヤモンド基板の加工能率の向上と表面粗さの大幅な改善を実験的に確認できた.また,加熱支援することによってさらなる加工能率の向上を実現した.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,設計・試作した加工装置を用いて,単結晶ダイヤモンドの各結晶面方位を加工し,結晶面方位と加工能率,最終到達面粗さの関係を実験的に調査するとともに,最適加工条件を探索する予定である.
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