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2013 年度 実施状況報告書

カーボンオニオン超格子膜の創成

研究課題

研究課題/領域番号 25630033
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京大学

研究代表者

加藤 孝久  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60152716)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2014-03-31
キーワードカーボンナノ粒子 / プラズマイオン注入 / DLC / ナノ粒子 / トライボロジー
研究概要

当該年度においてはプラズマイオン注入法を用いたカーボンナノ粒子を高集積化させ,超格子構造を形成することを目的とした.その目的を果たすために,イオン注入における各パラメータの影響を検証するとともに,そのメカニズムを明らかにした.
カーボンナノ粒子を合成する際には,触媒の役割を果たす銀が不可欠であるが,粒子の形成において銀薄膜の結晶構造が大きな影響を及ぼすことを明らかにした.銀の結晶粒サイズは成膜時の基板温度で調整した.銀の結晶粒が大きくなると,合成される粒子の粒径が減少しつつ,かつ粒子間に連続的な膜構造を形成することが分かった.これは銀の結晶性が高くなるとカーボンナノ粒子が合成するサイトとなる粒界や欠陥が減少し,カーボンナノ粒子が核生成を起こす確率が減少することが原因であると考えられる.粒子が成長しなくなると,注入されたカーボンは表面エネルギーの高い銀に拡散することを選択するため,粒子状に形成されず,銀を覆うように膜状構造を形成することが検証された.
また注入量を変化させ,カーボンナノ粒子の成長を観察した.粒子ははじめ20nm程度まで成長するものの,それ以上成長しないことが分かった.これは銀薄膜がイオン注入によって一部スパッタされ,銀マトリクス内で成長したカーボンナノ粒子が表面に露出し,カーボンイオンの注入を妨げ,粒子間に拡散してしまうからであると考えられる.また十分な時間注入を行わなければ,基板を被覆することが十分ではなくなることも明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まずカーボンナノ粒子を本人らが提案した合成プロセスによって再現性を持って目的のサンプルを得られることを可能とした.そのため,カーボンナノ粒子の合成メカニズムの解明やおよび超格子化の条件探索に取り組むことができ,その知見を持ってさらなる応用への足掛かりとなった.

今後の研究の推進方策

引き続きカーボンナノ粒子の超格子化の最適条件を探索するとともに,超格子構造を最大限活用できる応用手法の開発に取り組む予定である.

次年度の研究費の使用計画

当初真空熱処理装置の部品の購入を想定していたが,研究室内にある装置を利用して改造することにより,当初想定していたコストよりも低く抑えることが出来た.しかし先に述べた改造に関して,想定上のスペックを得られていない状態にある.そのため更なる改造が必要であると判断し,次年度に繰り越した.
本年度においてはまず当初予定していた装置の改造を引き続き行うため,繰り越した予算を利用する予定である.また本研究に関して学会発表および論文投稿を行う予定である.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Synthesis and characterization of carbon nanoparticle films prepared by plasma-based ion implantation2014

    • 著者名/発表者名
      Shu Sawai, Yuya Nakahara, Naohiro Matsumoto, Junho Choi, Takahisa Kato, Masahiro Kawaguchi
    • 雑誌名

      Surface and Interface Analysis

      巻: 46, Issue 10-11 ページ: 961-965

    • DOI

      10.1002/sia.5457

    • 査読あり
  • [学会発表] カーボンナノクラスタの合成,応用およびシミュレーションによる構造分析2014

    • 著者名/発表者名
      澤井周
    • 学会等名
      分子シミュレーションのトライボロジーへの応用研究会第16回研究会
    • 発表場所
      東京海洋大学越中島キャンパス,東京
    • 年月日
      20140326-20140326
    • 招待講演
  • [学会発表] プラズマ利用イオン注入法を用いたカーボンナノ粒子膜の合成およびその摩擦・摩耗特性2013

    • 著者名/発表者名
      澤井周,中原優也,崔埈豪,加藤孝久
    • 学会等名
      第5回マイクロ・ナノ工学シンポジウム
    • 発表場所
      仙台国際センター, 宮城
    • 年月日
      20131106-20131106
  • [学会発表] 銀薄膜構造の変化によるカーボンオニオン膜合成への影響2013

    • 著者名/発表者名
      中原優也,澤井周,崔埈豪,加藤孝久
    • 学会等名
      第5回マイクロ・ナノ工学シンポジウム
    • 発表場所
      仙台国際センター, 宮城
    • 年月日
      20131106-20131106
  • [学会発表] バイポーラPBII法で合成したカーボンナノ粒子の構造の検証2013

    • 著者名/発表者名
      澤井周,中原優也,崔埈豪,加藤孝久
    • 学会等名
      トライボロジー会議2013秋福岡
    • 発表場所
      アクロス福岡, 福岡
    • 年月日
      20131024-20131024
  • [学会発表] Synthesis and Characterization of High-Density Nano Carbon Particle Film by Plasma-Based Ion Implantation Method2013

    • 著者名/発表者名
      Shu Sawai,Yuya Nakahara, Naohiro Matsumoto, Junho Choi, Takahisa Kato
    • 学会等名
      15th European Conference on Applications of Surface and Interface Analysis
    • 発表場所
      Cagliari, Italy
    • 年月日
      20131014-20131014
  • [学会発表] Synthesis of nano carbon onion thin film by plasma-based ion implantation method and its tribological properties2013

    • 著者名/発表者名
      Shu Sawai,Yuya Nakahara, Naohiro Matsumoto, Junho Choi, Takahisa Kato
    • 学会等名
      5th World Tribology Conference
    • 発表場所
      Turin, Italy
    • 年月日
      20130910-20130910
  • [学会発表] プラズマイオン注入法によるナノカーボン粒子膜の形成とトライボロジー特性評価2013

    • 著者名/発表者名
      澤井周,中原優也,崔埈豪,加藤孝久
    • 学会等名
      トライボロジー会議2013春東京
    • 発表場所
      国立オリンピック記念青少年総合センター, 東京
    • 年月日
      20130522-20130522

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公開日: 2015-05-28  

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