オンチップAFMの性能を評価するため、まずFEM解析によって温度変化に対するプローブとステージ間の変位を求めた。カンチレバーベースをプローブに取り付けるために用いる傾斜ブロックの材質は試作したオンチップAFMと同じアルミニウムを選択した。ブロックと基板及びカンチレバーベースの間にはエポキシを挟んだ。全体に1℃の温度変化を与えた時の相対変位は、カンチレバーの長手方向に0.4 nm、基板と垂直方向に8.5 nmとなった。次に、櫛歯アクチュエータに交流成分を含む電圧を印加し、周波数とステージの振動振幅との関係を測定した。その結果、一次共振ピークとして16.3 kHzという値が得られ,解析値と近い値であることを確認した. 次にオンチップAFMを市販のAFMコントローラで制御して、フォースカーブ測定、摩擦測定を行った。まず、フォースカーブ測定においては、カンチレバーの変位の軌跡から、ステージの動作にヒステリシスが無いことを確認した。摩擦測定においては、friction loop測定によって、実効荷重(外部荷重+凝着力)が2 nN以下で摩擦力測定を行えることを確認した。面走査による摩擦測定では、外部荷重をマイナスにした状態で安定して摩擦試験を行うことが可能であることを確認した。さらに、走査速度を変化させた測定によって、摩擦速度と摩擦力の関係がストライベック曲線と同様な傾向を示すことを明らかにした。
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