高分子材料の摩擦・摩耗基礎メカニズムの探求を目的に,摺動時の高分子材料と相手面との摩擦界面を蛍光顕微鏡により可視化し,摩擦・摩耗に支配的影響を持つ相手面上への高分子移着膜形成について,その動的挙動を定量的にとらえる手法を提案した.この手法を用い,シールや軸受など,機械システムの摺動部にトライボマテリアルとして用いられるpolyetheretherketone(PEEK)について,摩擦相手面の表面微細構造の相違により移着膜の安定性が異なり,少量で安定した膜が形成されることにより安定した摩擦挙動が得られることを明らかにした.
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