高分子電解質膜内部のプロトンおよびOHラジカルの輸送現象を分子論的に解析できるシミュレータを開発し、このシミュレータを用いて高プロトン伝導性と低OHラジカル伝導性が同時に発現する高分子電解質膜内部の水クラスターの微細構造に関する解析を行った。量子化学計算により得られたエネルギー障壁を精度良く表現できるプロトンホッピングのモデル化に成功し、そのモデルを組み込んだプロトン輸送シミュレータを構築することにも成功した。その結果、含水率が上昇するにつれて拡プロトン及び水の拡散係数が増加すること、OHラジカルよりもプロトンの拡散係数のほうが上昇率が大きいことが明らかとなった。
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