研究課題/領域番号 |
25630049
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
長津 雄一郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60372538)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 反応流 / 高分子液体 / 界面レオロジー / Viscous fingering |
研究実績の概要 |
高粘性液体をポリアクリル酸ナトリウム(SPA)水溶液、低粘性液体をFe3+水溶液とした場合にViscous fingering(VF)実験を行うと、低流速において、Fractureパターンが発生する。一方、高粘性液体をキサンタンガム(XG)水溶液、低粘性液体をFe3+水溶液とした場合、高流量においてFractureパターンが発生する。この現象にダブルウォールリングセンサーを用いた反応界面レオロジー測定から検討を加えることに注力した。まず、昨年度まで行っていた微小振動測定を行ったが、この測定では、先の実験結果の解釈に資する結果を得ることが困難であった。これは、先のVF実験結果は流速がパラメータとなり、変形の速度が重要であるが、微小振動測定では、この変形速度の差異を抽出するのには適していないことに起因していると考えた。そこで昨年度、ダブルウォールリングセンサーを用いた反応界面レオロジー大変形測定に着手した。その結果、以下を明らかにした。 (1)XG水溶液の場合、ある臨界流速を超えるとFractureが発生するのは、大変形測定によりゲルが破壊される剪断速度の違いに起因していると推察した。 (2)SPA水溶液では高流速でFractureが、XG水溶液では低流速でFractureが発生するのは、大変形測定により、界面粘度の剪断速度依存性の差異に起因していると推察した。SPA系では、剪断速度が大きくなると界面粘度が減少し、XG系では、剪断速度が大きくなると界面粘度が増加するという結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応流実験におけるVFパターンの速度依存性については、微小振動測定では、それを説明するレオロジー測定データの取得が難しいと判断し、大変形測定を試みた。その結果、反応流実験結果を説明しうるレオロジー測定データを取得できたため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までは、VFパターンからFractureパターンに遷移する反応流実験結果に対してレオロジー測定による裏付けを試みた。我々は、現時点で、VFパターンを化学反応により、抑制することのできる溶液・反応系を確立している(この傾向はVFパターンかたFractureパターンの逆の傾向)。今年度はこの系に対して大変形測定を行い、その妥当性を検証する。
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