研究課題/領域番号 |
25630054
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
玉川 雅章 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (80227264)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 衝撃波 / 気泡 / マイクロカプセル / 再生医療 |
研究概要 |
具体的目的は,(A)気泡の大きさと細胞やカプセルの膜の弾性率(物性値)による破膜への影響の観察と圧力の立ち上がり周波数,強度,波形などのカプセル内気泡変形挙動への影響と崩壊の最適制御(気泡変形挙動観察と圧力制御),(B)圧力制御の細胞増殖への影響(細胞刺激と増殖)であり,以下の結果となった. (1)細胞入り気泡内包マイクロカプセルの生成 [(B) 細胞刺激と増殖] まず,大きさ(50μm)のマイクロカプセルを製作した.なお,制作したカプセル破壊の条件が安定しないため,このカプセルの破壊条件についても検討を行った.次に既設のマイクロマニュピレーションシステムを改良し,内部に液体と空気またはCO2ガスの混合液を流量制御しながら入れ,基本部分となる気泡内包カプセルを製作した.空気については,流量制御によるカプセルの安定生成に成功した.一方,CO2ガスについては継続して安定性を確かめているところである.また,マニュピレーションシステムのピペットで機械的に膜を穿孔で膜を穿孔し,細胞(赤血球,血管内皮細胞)を挿入し,その後のカプセルの安定性を確認しながら最適な手法を探った結果,赤血球の挿入には成功したものの,血管内皮細胞については,ピペットによる操作時の刺激制御が安定しないこともあるが,細胞が機械的破壊のため成功していない. (2)衝撃波発生と観察装置の開発 [(A) 気泡変形挙動観察と圧力制御] ナノ秒パルスレーザ,顕微鏡の対物レンズを用いて,水で満たされた微小セルにレーザを集束させ,衝撃波(マイクロ衝撃波)を生成させている.これについては,ナノ秒パルスレーザを単発発振と偏光調整をおこなった後,対物レンズに入射し,セル内でレーザを集束させて,衝撃波を生成し,これを測定ならびに観測するものであるが,集束ならびに偏光調整が完全ではなく圧力の出力不足となっている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
気泡内包カプセル生成については,おおむね計画通りに進行しているが,研究実績に記載の(2)衝撃波発生と観察装置の開発 [(A) 気泡変形挙動観察と圧力制御]について,ナノパルスレーザを用いて衝撃波を生成するが,光学系の調整がまだ十分に最適化されていないため,当初予測していたレーザの集束後の出力が小さく,細胞近傍で発生させても破壊や刺激として十分な圧力レベルではないことが予測されており,その意味で作用させる方のマイクロ衝撃波の生成については,平成26年度も継続することとなっている.また,細胞については,本研究課題のカプセル作成の際に,これまでの細胞封入技術の向上が求められ,再検討を行っている.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の衝撃波作用の実験について,作用させる装置ともいえるマイクロ衝撃波の生成の出力向上については,引き続き実験を重ねる予定であるが,周波数,強度,波形などのカプセル内気泡変形挙動については,圧電素子による超音波や鋸歯状の圧力波によっても観察や測定が可能であるため,これらの方法を並列して実験を行っていき,平成26年度に予定していた必要なパラメータの条件を得ることを進めていく.また,細胞の種類については,増殖性のある他の種の細胞を用いてマイクロカプセルに封入することも検討する.
|