研究課題
衝撃波を気泡内包カプセル内の細胞への物理的刺激と増殖後のカプセル破壊の2つのモードを同時にもつシステムを開発することを最終目標として,本研究では,(1)カプセル破壊条件算出のためのカプセル内気泡振動と(2)カプセル内細胞培養可能のための条件算出と細胞への物理的刺激伝播の数値予測,を目的としており,本課題遂行により以下のことが明らかになった.1.カプセル破壊条件算出のためのカプセル内気泡振動については,カプセル内の気液比(ガスと液体の比率)およびカプセル膜の厚さを変化させた場合のカプセル内気泡変形挙動について,顕微鏡下でCCDカメラによって気泡変形を観察し,得られた気泡画像について画像処理によって気泡形状を抽出し,気泡の変形挙動を調べたところ,気液比が30-40%程度では気泡崩壊時のマイクロジェットによる破壊が起きやすくなり,気泡重心速度や変形振動半径も大きくなっており,一方,気液比が,60-70%程度では,気泡振動のみ見られ崩壊には至らず,変形振動半径も小さいことがわかった.これらから,再生医療システムにおいては,細胞とともに封入する気液比の大きさにも大きく依存するため,この気液比の調整が重要となることがわかった.2.カプセル内細胞培養可能のための条件算出と細胞への物理的刺激伝播の数値予測については,特に物理的刺激の数値予測については,内部気泡の挙動を簡潔に表現できる数理モデルを用いて,気液比が大きくなると振動振幅が小さくなることがわかり,刺激モードでの液体部圧力による細胞への物理刺激についても予測することができた.培養可能の条件算出については,実際の細胞による培養系への適用を試みたが,期間内においては,明解な培養条件(カプセル内部での培養液のpH調整や,Naイオンの調整)などを算出できていない.これについては,期間終了後も継続して行っている.
すべて 2014
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ICIC Express Letters
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