研究課題/領域番号 |
25630063
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丸山 茂夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90209700)
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研究分担者 |
千足 昇平 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50434022)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 単層カーボンナノチューブ / ポリマー修飾 |
研究概要 |
高配向性単層カーボンナノチューブ(SWNT)およびポリマーとの相互作用を明らかにすることを目指し,まずは水平配向SWNTのポリマーフィルムとの相互作用の理解および垂直配向SWNTのポリマーによる複合材料化技術の開発を行った. 水平配向SWNTにおいては,分子ガラスフィルムやポリマーフィルムなどによるコーティングとSWNTとの相互作用を明らかにした. ポリマーとして温度上昇により硬化するPDMSを用いることで金属性SWNTのみをコーティングし残す技術や,逆に温度上昇で粘性が上がり,柔らかくなるPMMAを用い,プラズマ処理を行うことで,半導体性SWNTのみを残す擬技術などを検討した.これらの半導体または金属SWNTの選択的な選別技術は,SWNTの電子デバイス応用に重要である. また垂直配向SWNTにおいては,PDMSポリマーによる複合材料化技術を検討し,硬化前のポリマーの表面張力を応用することでSWNT間への均一なポリマーの充填に成功した.この時,SWNTは複合材料化前後においてほぼ同程度の高い配向性を維持していることが明らかになった. この技術は,SWNT長さが非常に短い場合でも適応可能であり,幅広い応用が期待される.また,この複合材料の熱物性を測定した.ポリマーあり・なしでの熱伝導率の違いや,SWNT密度依存性について詳細に分析することで,SWNT-SWNT間および,SWNT-ポリマー間の接触熱抵抗などの見積もりを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
様々な形態(垂直配向SWNTや水平配向SWNT)と様々な種類のポリマーとの相互作用を明らかにすることができた.また,これらの知見や技術を利用して,デバイス応用や物性計測を実現しており,計画以上に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
合成技術によるSWNT自体の構造制御を進めると同時に,多くのポリマーとの相互作用の検討を進める.またそれらの物性計測を行うことで,その応用の可能性を検討していく.またより詳細なナノスケールでのSWNT-ポリマーの構造を明らかにしていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた以上に研究が進展したことと,いくつかのポリマーに限って詳細な分析を行ってきたため. これまでに得られた知見を元に,様々なポリマーを選定しその複合化技術や分析を広く進めていく.新たなポリマーの選定・吟味に必要な薬品や実験器具の購入を予定する.また,作製したSWNT-ポリマーの工学的応用も検討し,新たな物性計測などを行っていく.
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