• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

蛍光標識法を用いたマイクロ流路内粘弾性流体流れにおける高分子運動計測

研究課題

研究課題/領域番号 25630066
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関京都大学

研究代表者

巽 和也  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90372854)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード高分子溶液 / 粘弾性流体 / マイクロ流路 / 可視化計測 / 蛍光標識 / 誘電分光
研究概要

平成25年度は流路内の高分子の可視化実験に向けて,①高分子の蛍光標識と②高分子溶液の誘電分光計測を行った.高分子の標識では,ポリアクリルアミドのアミド基をアミノ基に変換して蛍光標識を試みた.この方法では蛍光標識できたものの蛍光分子と蛍光標識した高分子の分離が必ずしも成功せず,溶液中における個々の高分子を明確に識別することが困難であった.そこでモノマーを蛍光標識して,その後重合により高分子を生成して高分子を可視化する方法,高分子としてアミノ基を既に持つ物を選択して,それを蛍光標識する方法を検討する予定である.
次に,高分子溶液の誘電分光計測では,高分子の分子量,濃度,配向により溶液の誘電分光特性が変化することに着目して,溶液の誘電分光特性の測定とプローブ(電極形状)の開発を行った.測定では,ミリスケールの容器と電極を用いた測定系およびマイクロスケールの流路と電極を用いた測定系の2つを用いて,超純水,導電率が既知である校正液,ポリアクリルアミド水溶液の誘電分光測定を行った.その結果誘電緩和現象が観測され,濃度および分子量によって緩和周波数が変化することを示した.この場合,他の研究に示された異なる高分子および測定系の結果と定性的に良く一致し,測定装置の妥当性を示すことが出来た.一方,低周波数領域では電極に形成される電気二重層と溶液の導電性の影響により見かけの誘電率が増加し低周波領域における誘電緩和測定の感度が低下した.さらに,流量(速度勾配)が変化した場合は,誘電緩和減少が僅かに観測されたが,この電気二重層の影響により十分な解像度で計測することができなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

蛍光標識のよる個々の高分子の識別が正しく行われておらず,高分子の可視化としては十分に成果を上げていない.一方,誘電分光計測による高分子の可視化では誘電緩和現象がミリスケールとマイクロスケールでそれぞれ観測されたことから一定の進捗が得られたため.

今後の研究の推進方策

高分子の蛍光標識では,アミド基を持つポリアクリルアミドを用いたこと,ポリマーの直接標識を試みたこと,が原因で高分子を十分に標識できなかった,標識した高分子と蛍光分子を分離できなかった,ことが問題となった.既にマイクロ流路内の蛍光観察の測定系は構築されており,複数の方法で測定可能である.さらに,流量条件や温度条件等も設定可能な系を構築していることから,後は高分子の準備だけが課題である.これらについては,他分野の連携研究者と改めて議論を行い,生成方法の検討および作成を早急に行う.
高分子水溶液流れの誘電分光計測では,ミスケールとマイクロスケールの電極と流路について,それぞれ形状と寸法を検討し,測定可能な系は構築している.平成26年度は,電気二重層と溶液の導電率の影響の軽減を目的として,電極性状および解析手法の開発,そして測定感度の向上を図る.その上で,流れの中における誘電分光特性を示すことで流路内の高分子状態の測定とそれに伴う応力場の予測を図る.この場合,マイクロ流路を用いて種々の流動条件下における測定を行うと共に,マクロスケールでの測定を可能とするプローブの開発も行う予定である.

次年度の研究費の使用計画

当初の蛍光標識法では高分子が十分に標識できなかったため,予定の実験回数をこなすことができず,消耗品費が低額で終了したため.
新たな蛍光標識法を図るが,その開発と開発後の流路内の計測のための薬品購入およびマイクロ流路とプローブ作成のための諸費用に用いる予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Development of a Numerical Model for Single Red Blood Cell Motions in Stationary Fluid in the Presence of Uniform Magnetic Field2013

    • 著者名/発表者名
      K. Tatsumi, Y. Komori, T. Arakawa, K. Nishitani and K. Nakabe
    • 雑誌名

      Progress in Computational Fluid Dynamics

      巻: 12 ページ: 228-241

    • DOI

      10.1504

    • 査読あり
  • [学会発表] マイクロ流路と電気センサを用いた赤血球変形能の計測2013

    • 著者名/発表者名
      巽和也
    • 学会等名
      第17回オーガナイズド混相流フォーラム
    • 発表場所
      九十九里
    • 年月日
      20131205-20131206
    • 招待講演
  • [学会発表] Dielectrophoretic Sorting of Microparticles and Lymphocytes Using Rail-type Electrodes2013

    • 著者名/発表者名
      K. Tatsumi, H. Shintani, Y. Katsumoto and K. Nakabe
    • 学会等名
      17th Int. Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences
    • 発表場所
      Freiburg(ドイツ)
    • 年月日
      20131021-20131031

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi