研究実績の概要 |
磁気ハイパーサーミアのin vitro(生体外)実験での応用を目標として、近赤外温度イメージング法とAbel逆変換法を組み合わせた温度測定法を開発し、誘導磁場加熱された微小磁性球周りの温度分布を求め、その発熱量を推定した。具体的には以下の成果を得た。 (1) 誘導加熱用の近赤外温度イメージングシステムの開発: 交番磁場発生装置を用いて水中の微小磁性球をを誘導加熱し、その周りの温度分布を波長1150 nmもしくは1412 nmの吸光度画像から測定するシステムを開発した。吸光度分布に対してガウス関数の線形和近似による解析的Abel逆変換により半径方向温度分布を求める方法を提案した。 (2) 屈折率影響補正: 温度分布に対応した屈折率分布を計算し光線追跡計算を行った。収束計算により平行光線に補正した場合の吸光度プロファイルを決定し、Abel逆変換を適用することが可能となった。 (3) 各種条件における温度画像および発熱量の分析: 磁場条件(加熱出力,コイル間距離)および磁性粒子径(300 nm, 30μm, 0.5 mm, 1 mm)毎の温度分布を取得した。温度分布時間変化から発熱量を計算し、加熱出力,球径との明確な相関があることを示した。加えて、渦電流損とヒステリシス損を理論的に計算し、実験結果と極めてよい一致がみられることを確認した。
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