本研究課題では、音響メタマテリアルを用いることで、特定の周波数に対して遮音効果を有する音響カーテンの提案を目的とする。平成26年度においては、提案する構造の吸音効果を音響シミュレーションにより解析し、試作したデバイスの特性と比較検討を行った。そのために、シミュレーションソフト上で、提案する並列化した構造となる、穴に沿ってヘルムホルツ共鳴器の“ネック”と“キャビティ”が正6角形の形状に形成されている構造をモデリングし、空気中において穴の片側から音波を入射した場合の音場について評価した。また比較対象として、6以下の正多角形上にヘルムホルツ共鳴器が配置された構造についても計算を行った。 シミュレーション及び実験結果どちらの結果においても、ヘルムホルツ共鳴器の数の増加に従って、ノッチ周波数が高周波数にシフトし、ディップ量が増加することが確認できた。シミュレーション上の音圧分布において、ノッチ周波数においてヘルムホルツ共鳴器が共振し、入射音波と逆位相の音波を放射していることが確認できた。さらに詳しく解析すると、ヘルムホルツ共鳴器を穴周辺に均一に配置することにより、穴内に均一に逆位相の音波を供給することが可能となり、透過スペクトルのディップが深くなることが分かった。これらの結果から、ノッチ周波数における透過率を低くするためにはヘルムホルツ共鳴器を面内均一に配置することが重要であることが分かった。
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