研究課題/領域番号 |
25630078
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
井上 喜雄 高知工科大学, 工学部, 教授 (50299369)
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研究分担者 |
渡橋 和政 高知大学, 医歯学系, 教授 (70204295)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 機械力学・制御 / マスタースレーブ / 手術ロボット |
研究概要 |
エネルギー回生型マスタースレーブを手術ロボットに適用するに際して,マスタースレーブの基本性能の検討のために,基礎実験装置を試作するとともに,電気回路の昇圧チョッパや詳細な要素を含んだシステムに関する数値シミュレーションプログラムを開発し,実験結果と比較し良好な結果が得られた.得られた数値シミュレーションソフトを用いて,回路を構成するパラメータおよび制御パラメータによりマスタースレーブの特性がどのように影響を受けるかを把握した. 高知大学で稼働中のda Vinciおよびそのシミュレータを用いた動作実験により,本研究のマスタースレーブでの必要な自由度を確認した.その結果ウエアラブルモーションセンサをマスター部に活用することにより良好な操作性が期待できる可能性があることもわかった. 屈曲自由度部分と把持部分について,それぞれ独立して,アクチュエータ部分を試作した.把持実験により,把持に必要なトルクを検討したが,寸法の制約を満たす超小型モータで上記のトルクを出力するには,減速比が大きい減速機が必要であることがわかり,力覚で十分な精度が得られない可能性がでてきた.したがって,当初の構造とは,異なった代替案を並行して検討することにした. 血液なしの静止した臓器を対象とした,エコーガイドを用いた画像創生技術について,実験を行った.その結果,処理速度,明瞭度とも良好な結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試作した把持部に対応するアクチュエータを用いた実験で,把持に必要トルクの大きさが予想よりも大きくないとうまく把持できないことがわたったため,当初計画していた把持部の構造部分において,寸法の制約を満足させるために使用している超小型のモータのトルクでは大きい減速比の減速機を使用する必要が生じたため,力覚の精度に問題が生じる可能性がでてきた.リスク回避のため,並行して,異なった構造の把持部の検討を開始したため,全体の開発スケジュールにおいて若干おくれが生じている.しかし,代替案の検討も進んでおり,それがうまく行けば,おくれば十分とりもどせると考えられる.それが解決すれば,エコーガイドとの連携も進むと予想している.
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今後の研究の推進方策 |
挑戦的なテーマであり,当初計画した構造案だけで開発を進めれば,力覚などで目標の性能が得られない可能性でてきているが,研究分担者が手術ロボットを使用する立場にいるので,どの部分をクリアすることができれば十分使える技術になるかの評価を随時実施することができる体制になっている.したがって,当初計画での構造で進めていくと同時に,その構造にこだわらず,一部修正した代替構造案を並行してすすめ,それを用いてエコーガイドを含めた開発をすすめて今期の遅れを取り戻しda Vinciの次の手術ロボットの核になる新規性の高い技術に育てていきたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
把持部のアクチュエータのハード部分での性能で予想外の課題が生じ,同時並行で代替案の検討を行ったため,全体スケジュールに少し遅れが生じている.そのため,アクチュエータ以外の部分の試作,エコーガイドとの連携実験が遅れた. 同時並行ですすめる代替構造の試作,および課題検討のために遅れた部分の試作,その遅れによりエコーガイドとの連携実験が次年度にずれ込む.それ以外は,当初の計画通り進める.
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