研究課題
挑戦的萌芽研究
フォトニック結晶や表面プラズモン共鳴などの光集積素子の可変化は高機能システムの構築に必須の課題であるが,光学材料特性による制限から大きな特性チューニングは容易ではない.一方,従来,プラズマは,薄膜の堆積やエッチングなど真空加工プロセスとして利用されることが主体であった.本研究では,プラズマを固体,液体,気体に続く第4の光学材料として捉え,微小空間におけるその光学特性評価を行うことを目指す.本年度は,半導体Si上にアレイ化したマイクロスケールの微小電極について,その作製プロセスの確立と基礎的な放電特性評価を行った.Si異方性ウェットエッチングによって直径10から50umまでの逆ピラミッド構造を作製し,絶縁層SiO2を堆積した後にアノード層として金属膜を形成した.200から600V程度までの直流電圧印加によってArや空気中における大気圧での放電を確認した.ただし,現状では安定な放電は容易ではなく,プラズマの発光分布は時間と共に変動し,最終的には電極破損につながった.電圧-電流曲線から,グロー放電であることが示唆され,電極破損時にはアーク放電へと移行した可能性がある.これら不安定放電の原因として,絶縁層への不純物混入の問題や,電極部で生じる電界集中とそれに伴う発熱,また発熱によるガスの流れが考えられた.今後,より安定な放電を目指し,絶縁層の材料変更の他,電極構造の最適化について検討を行い,光学特性評価へと繋げる予定である.
3: やや遅れている
本年度5月に大学異動を行い,大型装置を含む実験環境を移設したため,装置の再稼働までに時間を費やした.年度後半からは本格的に実験を再開したが,実験条件が変化しており,その調整も行いながら,研究を進めている.
今後,より安定な放電を目指し,絶縁層への不純物混入を防ぐため,高品質膜へと変更する.また,電界集中を避けるため,電極構造の最適化について検討を行い,光学特性評価へと繋げる予定である.
H25年度中に大学異動があったため,研究計画に変更が生じている.このため,当初本年度に行う予定であった実験項目の一部を次年度へと送り,それに伴い,研究予算でも次年度使用額が生じた.H25年度に実施予定であった実験をH26年度に送り,その実験に必要な消耗品購入費として使用する予定である.
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Journal of Non-Crystalline Solids
巻: 383 ページ: 66-70
http://dx.soi.org/10.1016/j.jnoncrysol.2013.04.055
第30回センサマイクロマシンと応用システムシンポジウムプロシーディングス
巻: 1 ページ: 5PM3-PSS029-1-4