磁気ビーズは、外部から与えた磁界によって凝集・移動させることが可能であり、ドラッグデリバリーなど生体内での利用が期待されている。本研究は、磁気ビーズ材料の新たな機能として、ビーズを能動的に分散させる新たな手法を提案し、生体内で磁気ビーズを自由に凝集分散させる手法を確立することを目的として検討を行った。 その結果、ビーズとして磁気異方性の大きな材料を用い、そこに回転磁界を与えることによりビーズの個々の回転トルクを利用してビーズを分散させることに成功し、この手法を用いて微粒子の分散を制御できることを実証した。この結果は、磁気ビーズの生体中利用に関してきわめて有用な知見である。しかしながら同時に、ビーズ同士の凝集力を制御するためにコーティングが必要であり、その厚さを薄くできないことも明らかとなり、本手法の適用限界も示された。 結論として本研究は新たな磁気微粒子の分散凝集制御手法を提案し、その適用限界を物理的に明らかにすることで今後の医用応用に向けたアプリケーションの選択を可能としたものであり、新たな学問領域を開く大きな一歩を踏み出したものといえる。
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