研究課題/領域番号 |
25630086
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高畑 智之 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 講師 (80529652)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 知能機械 / マイクロ・ナノデバイス |
研究実績の概要 |
本研究では、触覚センサにおいて感度の高さと強度の高さを両立するために、硬さ可変パッケージの研究を行う。平成26年度は、ひずみゲージをシリコーンゴムに埋めた構造の触覚センサの周囲をダイラタンシー流体で覆うことで、撃力に対して硬くなるパッケージを考案、試作し、静的な荷重や撃力に対する感度を計測した。さらに、ダイラタンシー流体の材料の探索を行った。 アクリル板に穴を開けてそのふちにひずみゲージを片持ち梁状に取り付け、シリコーンゴムで覆った構造は、圧力に対して反応する触覚センサとなる。さらにその周囲が(A)ダイラタンシー流体で覆われたセンサ、(B)何にも覆われていないセンサ、(C)シリコーンゴムで覆われたセンサの3種類を用意した。(A)は本研究で提案するパッケージであり、(B)は感度が高いが撃力に弱いセンサ、(C)は撃力に対して強いが感度が低いセンサを想定した。0.5kgのおもりを用いた静的な荷重に対する応答は、(A)は(B)と比べて91%の感度を維持し、(C)と比べて7.6倍の感度があった。0.5kgのおもりを5mmの高さから落下させる撃力実験においては、(A)で計測された最大ひずみは(B)の23%であった。感度と強度を両立したことを示す指標として、撃力を与えた時の最大ひずみを静的荷重におけるひずみで正規化した。これは値が低いほど性能が良い。(A)が9以下だったのに対して、(B)は30以上、(C)は20程度となり、(A)のパッケージが有効であることを示した。 上記の実験では、一般的に知られている片栗粉を水に溶かしたダイラタンシー流体を用いた。しかし、センサのパッケージとしては水や片栗粉ではない耐久性に優れた材料が望ましい。そこで、シリコーンオイルとシリカゲルの粒子を混ぜた流体を調製したが、十分な特性は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダイラタンシー流体を用いたパッケージに対して静的荷重や撃力を加える実験まで行っており、この点では計画よりも進んでいる。一方で、材料の探索についてはまだ有効な結果が出るには至っていない。以上を総合して、おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、引き続きダイラタンシー流体の材料の探索を行うとともに、ダイラタンシー流体の外部から振動を与えたきの硬さの変化についての研究を行う。 平成26年度に研究発表を行った国際会議において、ダイラタンシー流体の材料についていくつかのアドバイスを得ることができた。これをもとにさらに材料の探索を進める。 また、平成26年度に提案したダイラタンシーを用いたパッケージについて、様々な周波数で荷重を加える実験を行い、その特性を計測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように材料探索が途上であり、材料の購入費などを次年度に使用することにした。一方でパッケージングについては順調にすすんでおり、次年度に周波数を変えた実験をし、その成果を発表するために使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
材料探索に関わる材料の購入費、周波数特性を計測する実験の構築等の費用、成果発表のための旅費等に使用する。
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