日本人の死亡原因の上位に心筋梗塞などの虚血性心疾患を挙げることが出来る.虚血性心疾患は冠動脈内に生じた粥腫(プラーク)が長年にわたり堆積して内腔の70 ~ 80 %狭窄すると,安定労作狭心症が生じ,狭窄が進行して閉塞しかかると不安定狭心症となる.完全に閉塞すると急性心筋梗塞に至る. 本研究ではステントに超音波モータの技術を応用し,超音波を体外から照射することで血管内を摺動するステントモータを開発した.本研究ではまず,ステントモータの出力について理論式の導出を行った.そしてステントモータとホーンについて設計を行い,それらを用いてステントモータの基本的な特性と駆動の確認を行った.駆動に対応したレシーバの共振周波数の超音波をステントに照射することで,駆動方向を制御することができることを確認した.水中での駆動を確認し基本性能を明らかにした。 ステントが血管内を摺動可能になることで,施術後体外からステントの位置調節ができるようになる,患部付近で発生した狭窄に対し体外からの超音波照射のみで対応できるようになるなど,様々な応用が考えられる.
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