本課題では代表者が発明した「指向性電界誘起マイクロナノバブル列による加工」のシーズを活用し,大気圧・液中下においてポリマー・生体組織等を低侵襲・高精度に三次元加工し,同時に気泡の気液界面に封入した試薬や遺伝子を導入する新しいパターニング技術を目指し研究を行った結果,試薬をパターニングする技術に成功し,実際のアフリカツメガエルの卵母細胞への高精度パターニングに成功した.加工精度においても加工プローブ先端をホールディングピペットのような先端が鈍な形状にして流線型に先端を窄めて高精度な穿孔ができるように改良し,加工精度を1μm程度まで,高精度加工することに成功した.また,一方でXY方向の操作精度を向上することによって,これまで一点にインジェクションするだけであったものが,2次元にパターニングすることに成功した.さらには「指向性電界誘起マイクロナノバブル列による加工」のために開発された電界誘起気泡メスのプローブにさらに外側外郭部にダンパー構造を取り付けることによって先端閉空間内に溶液を閉じ込め,あたかも液中であるかのように,空気中において試薬をインジェクションすることに成功し,その実用化の応用範囲が格段に広がった.ダンパー構造の柔らかさを調整することにより,パターニングする対象は幅広く固さの範囲で調整することができるため,柔らかい生体試料から,ポリマー,固い金属材料まで試薬をパターニングできる可能性を広げることができた.
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