本研究は、DNA分子で構成されるナノデバイスと、MEMSや集積回路といったマイクロデバイスの間をつなく配線技術に関する研究である。研究代表者がこれまでに実現した巨大なDNA分子の非侵襲操作技術をベースに、巨大DNAをマイクロ電極間を繋ぐ分子配線素材として用いる。昨年度に取り組んだ、ナノ構造体の作製、レーザー光学系の構築、金マイクロ基板電極の製作、光操作特性評価を元に、本年度は以下の点に取り組んだ。 ・ナノ構造体の製作と評価:複数のサイズの構造体を形成し、光操作時の捕捉力を評価することで、サイズと捕捉力の関係を明らかにした。 ・レーザー光学系の構築:昨年度1軸の光トラップに留まっていたが、本年度光学系を拡張し、ガルバノミラーによる2軸操作を可能にした。 ・3次元金マイクロ電極基板の作製:10-20μm高さのマイクロピラー全面に金を成膜し、パターニングすることによりDNAを懸架するマイクロピラー電極を作製した。しかしながら、前年度に開発した生体分子の金基板への固定化手法を本電極に適用するには至っておらず、今後の課題として残った。 ・DNA光操作:光駆動構造体によるDNAの操作が行えることは確認された。しかし、金表面に正電荷を与えるには至っておらず、ピラー間のDNA分子の橋渡しには至っていない。
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