インダクタやモータ,MRI装置など電磁機器の限界性能を引き出すためには,電磁界解析に基づく設計最適化が必要である.この最適化結果の信頼性を高めるためには,電磁機器を忠実にモデル化した3次元有限要素解析が必要である.しかしその解析時間は非常に長く,有限要素解析を繰り返し行う最適化計算の実行には通常1週間以上要する.このため3次元モデルに基づく最適化計算を設計業務に利用することは難しかった.本研究では少数の解析結果(電磁界のスナップショット)から直交基底を構成することで,3次元有限要素方程式の未知数を数10万~数100万から数10に削減するモデル縮約法を開発する.これにより3次元有限要素法の計算時間を大幅に短縮し,3次元最適化計算の設計業務への実利用を可能とすることを目的とする. H27年度においては,特にモデル縮約法を用いて,電気・電子機器の有限要素方程式より等価回路を生成する方法を開発した.これにより,電気・電子機器と制御・駆動回路との結合系をSPICEなどの回路シミュレータにより解析できるようになるため,解析時間の大幅な短縮を実現することができた.本成果は5件の国際学術雑誌論文として公表されている.
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